注文住宅の魅力ある商品をつくること

 

工務店専門のコンサルティング会社

 

④ 魅力ある商品づくり

ターゲットが魅力的に感じる注文住宅の「家」=「商品」を造ること

以前のような人脈や紹介中心の営業スタイルの時代であれば「どんな家でもできます」が有効で、「この家しかできません」的な見せ方はマイナスだったかもしれません。
しかし、情報の溢れる現代において、設定した「ターゲット」から自社を選んでもらうためには、その「ターゲット」にとって魅力的な注文住宅の「家=商品」の存在は必須です。

「商品」というと、何か大手ハウスメーカーのような仕様や価格が固定化された「規格品」のイメージを思いがちですが、工務店の場合はそうではありません。

「商品」をつくる上で、私が考える最も大事なことは「コンセプト」です。

その商品が顧客(ターゲット)にとって、どんなベネフィット(利益)を与えることができるのかをはっきりさせることが大事なことなのです。そこが決まれば、おのずと何をどこまで決めれば良いのかが定まってきます。

仕様などは、基本的には注文住宅なので顧客のニーズによって変わってくるケースも多いとは思いますが、何でも良いことにしないで、決めた「コンセプト」にのっとった仕様を薦めるのが基本になるでしょう。

そこで重要なことは、会社としての「理念/ポリシー」です。仕様については、その理念に基づいて「工務店がこだわる部分」「顧客がこだわる部分」があって然りだと思います。

例えば「構造躯体」は、そのコンセプトに基づいて建築のプロである工務店自身が考える「一定レベル以上」のものを薦めるべきだと思います。
そのこだわりに顧客は「共感」して「信頼」するからです。地震への不安の大きい日本では、「構造躯体」をどう考えるかは、安全や安心という点で会社の姿勢が問われるということを忘れてはいけないと思います。
私がコンサルティングのサポートをしている(株)NCNの「SE構法」などは、特にこれらの軸となりえる構造だと思っています。

「断熱性能」も目指す「コンセプト」によって、同様に自分たちが自信を持って薦めるべき仕様にすべきだと思います。

そして「設計やデザインに対する考え方」も商品を構成する重要な要素です。
もちろん敷地形状や家族構成も違う中、注文住宅として設計するわけですから、同じ図面になるわけはありません。しかし、その根本に流れる設計思想的な考えはしっかりと持つべきです。

「顧客の言いなり」で設計しても、良い家はできないと思います。あくまでも自信を持って提案していくスタイルがとても大事な要素となるはずです。

「デザイン」も同様です。その「スタイル」「テイスト」「考え方」を明確にすることで自分たちらしいデザインが確立されます。
そして、顧客がホームページなどでその作品事例を見ることで、その会社のファンが増えるという流れになるべきです。

あとは、「外壁」「屋根」「床」「内壁」「建具」「設備」などは、どこまでセレクトして準備しておくかがその「コンセプト」に併せて決めておけばよいと思います。

商品を決めるメリットのもう一つに「生産性」の向上があります。

毎回毎回顧客によって使う材料や建材類がコロコロ変わっては、現場の施工がいつまでたっても効率がよくなりません。それを、材料の方向性が決まることでその種類も定まるし、施工方法も一定になってきます。

それによって、仕入れの交渉力があがることで材料費が下がり、収まりが定まることで手間賃も下がり、仕様が統一されることで在庫も減ります。そして結果的に原価が下がり、利益の向上やコスト競争への強化に繋がることになるのです。

ただし、この「生産性」の向上をあまり求めすぎると、ハウスメーカーのような面白みのない規格住宅になってしまいます。
そこは「バランス」がとても大事です。

工務店が持つ「手作り感」「対応力」のような強みは残しつつ、コンセプトを明確にして仕様や収まりの統一化を図るという、「バランス」を意識して商品を考えていきましょう。